管理業務主任者 過去問
令和5年度(2023年)
問49

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問題

管理業務主任者試験 令和5年度(2023年) 問49 (訂正依頼・報告はこちら)

マンション管理業者Aが、管理組合Bから委託を受けて、Bの修繕積立金等金銭の管理を行う場合に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法に違反する記述のみを全て含むものは次のうちどれか。

ア  Aは、マンション管理適正化法施行規則(以下、本問において「規則」という。)第87条第2項第1号イに定める方法によりBの修繕積立金等金銭の管理を行っており、Bの管理者等の承認を得て、Bを名義人とする収納口座に係る印鑑及びBを名義人とする保管口座に係る印鑑のいずれも管理している。
イ  Aは、規則第87条第2項第1号ロに定める方法によりBの修繕積立金等金銭の管理を行っており、Bを名義人とする収納口座に係る印鑑を管理しているが、Bの承認を得て、その月分として徴収されたものから当該月中の管理事務に要した費用を控除した残額を、引き続き当該収納口座において管理している。
ウ  Aは、規則第87条第2項第1号ハに定める方法によりBの修繕積立金等金銭の管理を行っているが、Bの区分所有者等から徴収される一月分の修繕積立金等金銭の合計額以上の額につき有効な保証契約を締結していない。
  • ア・イ
  • ア・ウ
  • イ・ウ
  • ア・イ・ウ

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この過去問の解説 (2件)

01

違反する記述のみを全て含むものは「ア・イ」です。

 

ア 違反する

マンション管理業者であるAは、規則第87条第2項第1号イに定める方法により修繕積立金等金銭を管理する場合にあっては、保管口座又は収納・保管口座に係る管理組合等の印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理してはなりません(マンション管理適正化法施行規則87条4項)。

したがって、Bの管理者等の了承を得ても、保管口座に係る印鑑に関しては管理してはなりません。

 

イ 違反する
マンション管理業者であるAは、規則第87条第2項第1号ロに定める方法によりBの修繕積立金等金銭の管理するにあっては、マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金を保管口座に預入し、当該保管口座において預貯金として管理するとともに、マンションの区分所有者等から徴収された前項に規定する財産を収納口座に預入し、毎月、その月分として徴収された前項に規定する財産から当該月中の管理事務に要した費用を控除した残額を、翌月末日までに収納口座から保管口座に移し換え、当該保管口座において預貯金として管理しなければなりません(マンション管理適正化法施行規則87条第2項第1号ロ)

したがって、引き続き収納口座において管理することはできません。

 

ウ 違反しない

マンション管理業者であるAは、規則第87条第2項第1号イ又はロに定める方法によりBの修繕積立金等金銭の管理するにあっては、マンションの区分所有者等から徴収される一月分の修繕積立金等金銭の合計額以上の額につき有効な保証契約を締結していなければなりません(マンション管理適正化法施行規則87条3項)。

同号ハに該当する、「当該収納・保管口座において預貯金として管理する方法」においては、保証契約を締結することは求められません。
 

まとめ

マンション管理業者における金銭の管理方法の問題です。

本問題を通して正しい管理方法を確認しましょう

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02

本問は、金銭の管理に関してマンション管理適正化法(以下、管理適正化法)施行規則第87条第2項第1号に定める修繕費と管理費が金銭の場合の収納保管に関する規制についての知識を問うものです。

大前提として、管理業者は、マンションの重要な資金に手を付けることができないようにしなければならないということを肝に銘じてください。
管理業者が手を付けられるのは、当月の修繕積立金等(修繕積立金及び管理費)だけです。
それ以外は、手が付けられないようにしなければ違法です(例外が一つありますが、本問の解答には影響しません)。

 

当月の修繕積立金等はまず収納口座に入ります。つまり収納口座とは集めた金を一時的にプールする口座です。
そして最終的には修繕積立金等は保管口座に入ります。この保管口座こそが資金管理の本丸です。
保管口座の金銭を守るために、保管口座の金銭に管理業者が手を出せないようにしなければなりません。


さて、金銭の管理には施行規則第87条第2項第1号イ~ハに定める①イ方式②ロ方式③ハ方式の三つの方式があります。

 

①イ方式とは、収納口座と保管口座を分けて、修繕積立金等は一括で収納口座に入金し、当月の管理に要した費用を控除したうえで残額を翌月末までに保管口座に移す方式です。
管理業者が少なくとも一か月分の修繕積立金等に手を付けられるので、万一に備えてその補償のための保証契約が必要です。

 

修繕積立金等→収納口座⇒保管口座
             ↓
    管理事務に要した費用

 

という流れになります。

 

②ロ方式とは、収納口座と保管口座を分け、管理費と修繕積立金も分けて、修繕積立金相当分は最初から保管口座に入金し、管理費のみを収納口座に入金して当月の管理に要した費用を控除した残額を翌月末までに保管口座に移す方式です。
管理業者が少なくとも1か月分の管理費に手を付けることができるので、万一に備えてその補償のための保証契約が必要です。

 

修繕積立金→保管口座
管理費→収納口座⇒保管口座
       ↓
 管理事務に要した費用

 

という流れになります。

 

③ハ方式とは、収納と保管を兼用する「収納・保管口座」を設けてそこにすべての修繕積立金等を預入れする方式です。
収納口座が保管口座を兼ねているので管理業者は一切の金銭に手を付けることができません。
管理業者が手を付けられる金銭がないので保証契約を必要としません

 

修繕積立金等→収納・保管口座

           ↓
     管理事務に要した費用

 

という流れになります。


このイロハの3方式の内容を知らないと本問は解けません。
国交省の資料000737962.pdfを見るとまとまっていて分かり易いと思います。


保管口座の金銭には手を付けられないが収納口座の金銭には手が付けられるのですから、管理業者は保管口座を兼ねない収納口座の印鑑又は引出し用カードを管理することは可能です(この収納口座の名義は管理組合であっても管理業者であっても同じです)。
しかし、保管口座の印鑑等を管理することは原則としてできません
もとより、管理業者は、月々の管理費に充当する金銭のみ手を付けられれば仕事はできますから保管口座の金銭に用はないはずです。

 

管理適正化法施行規則第87条第2項「法第76条に規定する国土交通省令で定める方法は、次の各号に掲げる場合に応じ、それぞれ当該各号に定める方法とする。
一 修繕積立金等が金銭である場合 次のいずれかの方法
イ マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭を収納口座に預入し、毎月、その月分として徴収された修繕積立金等金銭から当該月中の管理事務に要した費用を控除した残額を、翌月末日までに収納口座から保管口座に移し換え、当該保管口座において預貯金として管理する方法
ロ マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金(金銭に限る。以下この条において同じ。)を保管口座に預入し、当該保管口座において預貯金として管理するとともに、マンションの区分所有者等から徴収された前項に規定する財産(金銭に限る。以下この条において同じ。)を収納口座に預入し、毎月、その月分として徴収された前項に規定する財産から当該月中の管理事務に要した費用を控除した残額を、翌月末日までに収納口座から保管口座に移し換え、当該保管口座において預貯金として管理する方法
ハ マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭を収納・保管口座に預入し、当該収納・保管口座において預貯金として管理する方法
(第2号略)


以上の観点で各肢を検討します。


アは管理適正化法に違反します。

 

管理組合Bの保管口座に係る印鑑の保管は管理適正化法違反です。
保管口座の金銭に手を付けられるようにしてはいけません。
これは、肢のイ方式に限らず、ロ、ハのすべての方式に共通です。

 


イは管理適正化法に違反します。

 

収納口座の金銭に手を付けることができるのは問題ありません。つまり、収納口座の名義がだれであれ、印鑑を管理業者が保管することは可能です。
しかし、収納口座は当月分の修繕積立金等の一時保管のためのものであり、残高は翌月末までに保管口座に移さなければなりません
 

なお、通達によると、残額すべてではなく、必要最低限度の剰余金を残すことは管理組合の承認があれば可能とされています。

 


ウは管理適正化法に違反しません。

 

ハ方式は、収納・保管口座という方式で収納と保管を分けません。
分けないということは、つまりすべての修繕積立金等が存在するのは保管口座の一種である収納・保管口座ということになります。すると、管理業者は口座内の金銭に手を付けることができません。

 

例えば収納・保管口座の印鑑等を保管しているなど、手を付けることができるようになっていれば管理適正化法に違反しますが、ア、イの肢のようにできるようになっているということが書いてありません。書いていない事情はない、つまり、適正であるという前提で考えます。

 

よって、収納・保管口座で金銭を管理している場合、適正でない事情がない限りは、口座の一切の金銭に管理業者は手を付けられないので、万一に備えた保証契約は不要です(なお、適正でない事情があってもやはり保証契約は不要であることに変わりはありません。ただ、適正でないことが管理適正化法違反になるだけです)。


保証契約は、保管口座でない収納口座の金銭には管理業者(の従業員等)が手を付けられるようになっていることから、万一手を付けた場合(あるいは、管理業者名義としている場合に管理業者が破産すると管理組合が当該金銭を失うおそれがあります)にその補償のために必要とされるものです。
一か月分以上となっているのも、収納口座には基本的に一か月分程度の修繕積立金等しか存在しないからです(必要最低限の余剰金があっても2か月分になることはないということです)。

 


以上、管理適正化法に違反する記述はアとイであり、アとイのみを含むものが正解となります。

選択肢1. ア・イ

アとイはいずれも違反です。

ウは違反ではありません。

 

よってこの肢が正解です。

選択肢2. ア・ウ

アは違反です。

ウは違反ではありません。

 

よってこの肢は誤りです。

選択肢3. イ・ウ

イは違反です。

ウは違反ではありません。

 

よってこの肢は誤りです。

選択肢4. ア・イ・ウ

アとイはともに違反です。

ウは違反ではありません。

 

よってこの肢は誤りです。

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