管理業務主任者 過去問
令和5年度(2023年)
問16
問題文
鉄筋コンクリート造のマンションの劣化等調査方法に関する次の記述のうち、「コンクリートのひび割れ調査,補修・補強指針2022」(公益社団法人日本コンクリート工学会)によれば、最も不適切なものはどれか。
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問題
管理業務主任者試験 令和5年度(2023年) 問16 (訂正依頼・報告はこちら)
鉄筋コンクリート造のマンションの劣化等調査方法に関する次の記述のうち、「コンクリートのひび割れ調査,補修・補強指針2022」(公益社団法人日本コンクリート工学会)によれば、最も不適切なものはどれか。
- クラックスケールにより、コンクリートのひび割れ幅を測定した。
- 反発度法により、コンクリートの圧縮強度を推定した。
- 電磁誘導法により、コンクリートの塩化物イオン濃度を推定した。
- 赤外線サーモグラフィにより、外壁のタイルの浮きを探査した。
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この過去問の解説 (2件)
01
建物の診断方法、測定方法に関する設問です。
適切
クラックスケールは、コンクリート製品のひび割れ幅を測定するものです。
適切
反発度法(シュミットハンマー法)は、コンクリートの圧縮強度を推定するものです。
不適切
電磁誘導法は、鉄筋の位置やかぶり測定ができるものです。
したがって、コンクリートの塩化物イオン濃度を測定するものではありません。
適切
赤外線サーモグラフィは、温度が測定できる映像装置であり、温度差によって外壁のタイルの浮きを探査することができます。
この設問を通して、各調査・診断の特徴を確認しましょう。
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02
本問は非破壊検査によるコンクリート等の劣化診断の手法と診断内容についての知識を問う問題です。
基本的な知識なので知っていて当然ですが、たとえ知らなくても言葉の意味さえ分かれば推理か勘でも正解できる易しい問題です。
絶対に落とせません。
「最も不適切」ではありません。
クラックスケールとは、読んで字のごとくひび割れ(crack)の大きさを測る物差し(scale)です。
コンクリートのひび割れの幅を測定するのですから、まさにクラックスケールの出番です。
なお、深さを測定する場合には、超音波法、X線CT法、衝撃弾性波法などがあります。
「最も不適切」ではありません。
反発度法とは簡単に言えば、物をぶつけた時の跳ね返り具合を測定することで、対象物の強度を推定する方法です。
コンクリートの表面の硬さと反発度は相関があり、また、表面の硬さと圧縮強度にも相関があるので、反発度から圧縮強度が推定できます。
リバウンドハンマー(シュミットハンマーとも言います。シュミットハンマーは本来は商標です)を用いた反発度の測定方法はJIS(日本産業規格)A1155:2012に規定があります(なお、この規格は反発度の測定方法であり、反発度から強度を推定する方法ではありません)。
あくまで実験から得られたデータを基にした推定であり、理論的計算で求まる必然的な結果というわけではありません。
例えば、コンクリートの特に表面の含水具合により反発度は変化するので精度は高くありません。
そのため、±50%あるいはそれ以上の誤差が生じることもあると言われています。
反発度法は不正確なので耐震診断のための検査では一般的ではありません。
しかし、手軽であり、また、複数個所を検査して強度分布(要するに強度のムラ)を測定するのにも向いています。
「最も不適切」です。よってこの肢が正解です。
電磁誘導法とは、磁場の変化が電流を生む現象(身近なところではIH調理器具の動作原理です)を利用した非破壊検査の一種です。電磁誘導により、RCにおいては鉄筋の位置、大きさなどを測定することができます。
仕組みを大雑把に説明します。
励磁コイルに電流を流して磁場を発生させます。
これを鉄筋コンクリートに近づけると、磁場が鉄筋に作用して鉄筋に二次電流が流れます。
そうするとこの二次電流により鉄筋に磁場が生じます。
するとこの磁場が励磁コイルに作用してコイルに電流が流れます。
その結果、コイルの電圧が変化します。
この変化を既存のデータと照合して位置、径、被り深さを推定します。
電磁誘導法では鉄筋の位置、径、被り深さは計測できますが、非金属、空洞など電磁誘導が生じない物は検出できません。
逆に空洞を検出しないので空洞の影響を受けないことが利点になる場合もあります。
また、被り深さが100㎜を越えると急激に精度が低下し200㎜程度が計測限界と言われます。
「最も不適切」ではありません。
赤外線サーモグラフィとは対象物の温度状態を測定することで、対象物の状態を調べる非破壊検査の一種です。
外壁タイルに浮きが生じると中に空気が入りますから、それが断熱材となって浮きのない部分よりも熱の伝わり方が遅くなります。
その結果、昼間の日射にさらされている場合には、タイルに伝わった日射熱が躯体に伝わりにくくなりタイルからの熱移動が遅くなるため、浮きのない部分よりもタイルが高温になります。逆に夜間の放射冷却が起きる場合には、躯体の熱がタイルに伝わりにくいためにタイルの温度が早く下がり、浮きのない部分よりも温度が下がります。
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