管理業務主任者 過去問
令和5年度(2023年)
問26
問題文
集会の招集通知に関する次の記述のうち、区分所有法によれば、不適切なものはいくつあるか。
ア 夫婦共有住戸で夫が議決権行使者としての届出があったが、夫が長期海外出張中だと分かっていた場合には、その妻にあてて招集通知を発しなければならない。
イ 区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知しなかったときは、区分所有者の所有する専有部分が所在する場所にあててすれば足りる。
ウ 全ての区分所有者が建物内に住所を有する場合には、集会の招集の通知は、規約に特別の定めをしなくても、建物内の見やすい場所に掲示してすることができる。
エ 集会は、区分所有者全員の同意があるときは、招集の手続を経ないで開くことができる。
ア 夫婦共有住戸で夫が議決権行使者としての届出があったが、夫が長期海外出張中だと分かっていた場合には、その妻にあてて招集通知を発しなければならない。
イ 区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知しなかったときは、区分所有者の所有する専有部分が所在する場所にあててすれば足りる。
ウ 全ての区分所有者が建物内に住所を有する場合には、集会の招集の通知は、規約に特別の定めをしなくても、建物内の見やすい場所に掲示してすることができる。
エ 集会は、区分所有者全員の同意があるときは、招集の手続を経ないで開くことができる。
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問題
管理業務主任者試験 令和5年度(2023年) 問26 (訂正依頼・報告はこちら)
集会の招集通知に関する次の記述のうち、区分所有法によれば、不適切なものはいくつあるか。
ア 夫婦共有住戸で夫が議決権行使者としての届出があったが、夫が長期海外出張中だと分かっていた場合には、その妻にあてて招集通知を発しなければならない。
イ 区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知しなかったときは、区分所有者の所有する専有部分が所在する場所にあててすれば足りる。
ウ 全ての区分所有者が建物内に住所を有する場合には、集会の招集の通知は、規約に特別の定めをしなくても、建物内の見やすい場所に掲示してすることができる。
エ 集会は、区分所有者全員の同意があるときは、招集の手続を経ないで開くことができる。
ア 夫婦共有住戸で夫が議決権行使者としての届出があったが、夫が長期海外出張中だと分かっていた場合には、その妻にあてて招集通知を発しなければならない。
イ 区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知しなかったときは、区分所有者の所有する専有部分が所在する場所にあててすれば足りる。
ウ 全ての区分所有者が建物内に住所を有する場合には、集会の招集の通知は、規約に特別の定めをしなくても、建物内の見やすい場所に掲示してすることができる。
エ 集会は、区分所有者全員の同意があるときは、招集の手続を経ないで開くことができる。
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この過去問の解説 (2件)
01
不適切なものは「ア・ウ」の二つです。
ア 不適切
集会の招集の通知は、専有部分が数人の共有に属するときは、議決権を行使すべき者にすれば足ります(区分所有法35条2項)。
したがって、夫が長期海外出張中であったとしても、夫に招集の通知をすれば足ります。
イ 適切
区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知しなかったときは、区分所有者の所有する専有部分が所在する場所にあててすれば足ります(区分所有法35条3項)。
ウ 不適切
建物内に住所を有する区分所有者に対する集会の招集の通知は、規約に特別の定めがあるときは、建物内の見やすい場所に掲示してすることができます(区分所有法35条4項)。
したがって、規約に特別の定めをしない場合は、建物内の見やすい場所に掲示してすることはできません。
エ 適切
集会は、区分所有者全員の同意があるときは、招集の手続を経ないで開くことができます(区分所有法36条)。
区分所有法の集会に関する問題です。
また、以下の条文も一緒に覚えておくようにしましょう。
集会の招集の通知は、会日より少なくとも一週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければなりません。ただし、この期間は規約で伸縮することができる(区分所有法35条1項)。
不適切なものは「ア・ウ」の二つです。
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02
本問は、建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)の集会招集通知に関する基本的な法令知識を問う問題です。
個数問題なので正確に知らないと正解が出せませんが、招集通知を誰が誰に対していつどうやってどこになぜ出すのかを知っていれば解答できる問題です。
区分所有法では招集通知は、
管理者が
各区分所有者(*)に対して
会日より少なくとも1週間前(*)に
会議の目的たる事項を示して
区分所有者が指定した通知を受ける場所、指定がなければ区分所有者が所有する専有部分の所在する場所にあてて
「発する」必要があります。
これは、当然のことながら区分所有者の集会への出席及び議決権行使の機会を保障するためです。
(*)各区分所有者
複数の専有部分を有していても通知は一通で足ります。
一つの専有部分が共有の場合には、議決権行使者を一人決める、つまり代表者を決める必要があり、その者に通知すれば足ります。
仮に、代表者が不明であれば、共有者の誰か一人に通知すれば足ります。
共同相続で相続人の代表者に対して通知する場合と似たようなものですね。
(*)1週間前
区分所有法では1週間前ですが、標準管理規約では2週間前です。
これは憶えておきましょう。
招集に関する区分所有法の条文の内、以下の3条くらいはすべて目を通しておきましょう。
区分所有法第34条「集会は、管理者が招集する。
2 管理者は、少なくとも毎年一回集会を招集しなければならない。
3 区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。
4 前項の規定による請求がされた場合において、二週間以内にその請求の日から四週間以内の日を会日とする集会の招集の通知が発せられなかつたときは、その請求をした区分所有者は、集会を招集することができる。
5 管理者がないときは、区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、集会を招集することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。
区分所有法第35条「集会の招集の通知は、会日より少なくとも一週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸縮することができる。
2 専有部分が数人の共有に属するときは、前項の通知は、第40条の規定により定められた議決権を行使すべき者(その者がないときは、共有者の一人)にすれば足りる。
3 第一項の通知は、区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知したときはその場所に、これを通知しなかつたときは区分所有者の所有する専有部分が所在する場所にあててすれば足りる。この場合には、同項の通知は、通常それが到達すべき時に到達したものとみなす。
4 建物内に住所を有する区分所有者又は前項の通知を受けるべき場所を通知しない区分所有者に対する第一項の通知は、規約に特別の定めがあるときは、建物内の見やすい場所に掲示してすることができる。この場合には、同項の通知は、その掲示をした時に到達したものとみなす。
5 第1項の通知をする場合において、会議の目的たる事項が第17条第1項、第31条第1項、第61条第5項、第62条第1項、第68条第1項又は第69条第7項に規定する決議事項であるときは、その議案の要領をも通知しなければならない。
区分所有法第36条「集会は、区分所有者全員の同意があるときは、招集の手続を経ないで開くことができる。
アは不適切です。
この肢は割と細かい話です。
集会の招集通知は、各区分所有者に対して発する必要がありますが、区分所有建物が共有の場合には、共有者はそのうちの一人を議決権行使者として定める必要があり、その定められた一人に対して招集通知を出せば足ります。
たとえその議決権行使者が長期不在中だったとしてもそれは共有者側の都合であって、たとえ管理者がその事実を知っていたとしても対応の必要はありません。少なくとも法律上は。
各区分所有者が共有の場合には議決権行使者に対して通知するという「誰に対して」を憶えておいてください。
なお、定めなければならないと言っても現実に定めていない(定めていても届け出ていない)場合もあり得ます。その場合は、共有者の誰か一人に対して出せば足ります。
議決権行使者でない共有者に招集通知を「発してはならない」とは定められていませんが、「発する必要はない」のですから、「発しなければならない」とする本肢は不適切です。
区分所有法第35条第2項「専有部分が数人の共有に属するときは、前項の通知は、第40条の規定により定められた議決権を行使すべき者(その者がないときは、共有者の一人)にすれば足りる。」
区分所有法第40条「専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、議決権を行使すべき者一人を定めなければならない。」
なお、議決権は代理人により行使することができるので、本問の場合、妻が代理人となることはできます。
区分所有法第39条第2項「議決権は、(略)代理人によつて行使することができる。」
ところで、区分所有法では代理人資格に制限はありませんが、標準管理規約では代理人は(事実婚を含む)配偶者又は一親等の親族(同居の必要はありません)、住戸に同居する親族、他の区分所有者に限定されています。ついでに憶えておきましょう。
標準管理規約(単棟型)第46条第5項「組合員(=区分所有者。筆者註)が代理人により議決権を行使しようとする場合において、その代理人は、以下の各号に掲げる者でなければならない。
一 その組合員の配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同
様の事情にある者を含む。)又は一親等の親族
二 その組合員の住戸に同居する親族
三 他の組合員」
部外者はできるだけ関わって欲しくないわけですね。建前としては、本人と利害関係ができるだけ一致するようにという意味で部外者は排除しているのですが、子や親は別居していても認めて孫や祖父母別居していたら認めないのが果たして利害関係が一致しないという理由で説明できるかと言えば疑問です。
なお、この規定はあくまで任意代理人の資格制限であり、法定代理人はこの規定にかかわらず当然に代理権を有します。
イは不適切ではありません。
むしろ他にどうしろと言うのでしょう?
一般論として、区分所有者は管理者に対して集会招集通知を受けるべき場所を通知することができます。
非居住の区分所有者は通常、管理者に対して通知を受けるべき場所を通知しています。
その通知がなければ専有部分が所在する場所、現実的には、その専有部分の郵便受けに投函すれば足ります。
条文の体裁としては、原則が区分所有者が管理者に対して通知した場所で例外が専有部分が所在する場所となっていますが、実際上は、専有部分には区分所有者自身が居住していることが多いので専有部分が所在する場所が原則で通知した場所は例外になっているは普通のことです。
区分所有法第35条第3項前段「第1項の通知は、区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知したときはその場所に、これを通知しなかつたときは区分所有者の所有する専有部分が所在する場所にあててすれば足りる。」
通知場所は、原則、区分所有者がここに通知してくれと指定した場所。
それがなければ、具体的には各専有部分の郵便受けということです。
「どこに」を憶えてください。
余談ですが、実務的には問題が一つあります。
集会の招集通知というのは通常、議案書とセットです。
ところが、議案書というのは色々機微な話が載っているので「区分所有者以外にはできるだけ見せたくない」ものです。
議案書を賃借人には見せたくないわけです。
すると、単に非居住なのではなく賃貸に供している場合、専有部分が所在する場所に通知を出すと議案書が賃借人の目に触れるということが起こります。
これは、管理組合としては避けたい話です。そこで、専有部分を賃貸に供する場合には届出をさせるのですが、その届出の際に招集通知を出す場所を通知させるのが通常の運用でしょう。
ウは不適切です。
専有部分が所在する場所にあてて通知をする代わりに掲示により通知をするためにはその旨の規約の定めが必要です。
法律上の原則はあくまでも個別の通知です。通知を受ける場所の通知がない場合(それが法律の規定通りの専有部分が所在する場所の場合も含む。普通はわざわざ通知しませんが)は、専有部分が所在する場所が原則であり、例外運用は規約の定めが必要です。
区分所有法第35条第4項「建物内に住所を有する区分所有者又は前項の通知を受けるべき場所を通知しない区分所有者に対する第1項の通知は、規約に特別の定めがあるときは、建物内の見やすい場所に掲示してすることができる。この場合には、同項の通知は、その掲示をした時に到達したものとみなす。」
これは、区分所有者保護のためだと思ってください。掲示を見落としたために集会に出席できなかったなどということがないようにという配慮です。
なお、通知を受ける場所の通知があった場合は、必ずその場所に通知しなければなりません。規約をもって掲示で代えることは認められていません。
招集通知を掲示で済ませるには規約で定めることが必須となっているのは、「なぜ」通知を出すのか。それは、区分所有者の集会への出席及び議決権行使の機会の保障のためだということを憶えてください。
エは不適切ではありません。
元々、招集手続というのは、区分所有者の集会への出席と議決権の行使の機会を保障するための手続きです。であれば、「全員が同意している」限り、手続き的に議決権行使は保障されていると言えますから、招集手続は省略することができます(ちなみに会社法にも同様の規定があり、株主総会の招集手続きは総株主の同意により省略することができます。趣旨は同じです)。
区分所有法第36条「集会は、区分所有者全員の同意があるときは、招集の手続を経ないで開くことができる。」
「なぜ」通知を出すのか。それは、区分所有者の集会への出席及び議決権行使の機会の保障のためだということを憶えてください。
以上、不適切なものはアとウの二つです。
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