管理業務主任者 過去問
令和4年度(2022年)
問1
問題文
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問題
管理業務主任者試験 令和4年度(2022年) 問1 (訂正依頼・報告はこちら)
- 受任者は、委任が終了した後に、遅滞なくその経過及び結果を報告すればよく、委任者の請求があっても委任事務の処理の状況を報告する義務はない。
- 受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。
- 委任者は、受任者に不利な時期には、委任契約を解除することができない。
- 受任者が報酬を受けるべき場合、履行の中途で委任が終了したときには、受任者は、委任者に対し、既にした履行の割合に応じた報酬についても請求することはできない。
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この過去問の解説 (3件)
01
本問は、委任契約の基本的な条文知識を問う問題です。
通常の感覚と異なるかも知れませんが、委任契約は原則として無償であるということは必須知識として憶えておきましょう。
また、委任契約は契約当事者間の信頼関係の上に成り立っているゆえに、両当事者がいつでも理由なく任意に解除できるということも基本として押さえておきましょう。
後は常識的判断でほぼ解けます。
マンション管理業における管理組合からの管理業者への管理事務の委任は、準委任です。
準委任には委任の規定が準用されるので、管理業者は委任について当然に知っておくべきです。
民法第656条「この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。」
「最も適切」ではありません。
委任者から請求があれば、受任者はいつでも委任にかかる事務処理の状況を報告しなければなりません。
民法第645条前段「受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、(以下略)」
どう考えても、委任者が状況を知りたいから問い合わせをしているのに報告しなくてもいいなどという信頼関係を無視した話になるわけがありません。
「最も適切」です。よってこの肢が正解です。
明文の規定により、委任は無償が原則です。
民法第648条第1項「受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。」
なぜ無償が原則なのかというと、これはローマ法以来の伝統であり、委任は高尚な役務で報酬にそぐわないという理念的な理由に過ぎません。ですから理由には大した意味がありません。大した理由はないが制度として無償が原則になっていることだけ憶えておけば十分です。
現実の委任は圧倒的に有償です。委任の報酬について、法律上の原則と例外は現実とは逆であると理解して構いません。
その社会的な現実を根拠に、明示の報酬特約のない委任契約で報酬の請求を認めた裁判例もあります。
「最も適切」ではありません。
委任者は(そして受任者も)「いつでも」委任契約を解除することができます。
民法第651条第1項「委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。」
委任が当事者の信頼関係の上に成り立つ契約である以上、信頼関係を失えばいつでも解除できます。ただ、条文の文言及び判例では、信頼関係を失ったかどうかにかかわらず、端的に無理由で解除できます。
過去の裁判例では、信頼関係を失っていなければ解除できないとしたものもありますが、現在の最高裁判例は、信頼関係の有無にかかわらず無理由解除を認めた上で後は金銭でケリを付けるという発想になっています。
いつでも解除できることを前提に、不利な時期に委任を解除した場合の損害賠償の規定もあります。
民法第651条第2項「前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
一 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。
(第2号略)」
なお、この「解除」は理論上ないし講学上の「解除」とは異なり、遡及効はありません。理論的には、いわゆる「告知」又は「解約」です。
つまり、既に終わった委任事務処理の法的根拠が遡ってなかったことにはなりません。
民法第652条「第620条の規定は、委任について準用する。」
民法第620条「賃貸借の解除をした場合には、その解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる。この場合においては、損害賠償の請求を妨げない。」
「最も適切」ではありません。
いくら委任契約が自由に解除できると言っても、そこまでの労働がなかったことになるわけではありませんし、当然それがただ働きになるわけでもありません。
そうでなければ、極端な話、ヤマを越えたら解任して報酬を払わないなんていうことまでできてしまいます。
民法第648条第3項「受任者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
(第1号略)
二 委任が履行の中途で終了したとき。」
なおこの規定は委任契約が途中で終了した場合(任意解除も含みますがそうでなくても構いません)の割合的な報酬請求権の規定ですが、これとは別に、終了原因が任意解除による場合の損害賠償請求の規定があります。こちらも併せて憶えておきましょう。
民法第651条「委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
一 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。
二 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。」
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02
委任契約に関する問題です。
不適切。受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければなりません(民法645条)。
適切。民法648条1項の通りです。
以下の規定と区別しましょう。
【民法632条(請負)】
請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
不適切。委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができますが、相手方に不利な時期に委任を解除したときには、相手方の損害を賠償しなければなりません(民法651条2項1号)。
裏を返せば、「相手方の損害を賠償すれば、委任契約を解除することができる」ということです。
不適切。受任者は、委任が履行の中途で終了した場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができます(民法648条3項2号)。
請負契約との混同をねらってきますので、それぞれ区別しましょう。
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03
「委任契約」に関する問題です。
本試験の対策として、民法における委任契約に関する以下の基本事項を理解しましょう。
1.委任契約の成立要件
・「当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方が承諾することで成立する契約」です(民法643条)
・契約にあたり、書面の締結は不要です。
2.委任契約の目的
・業務の遂行が目的であり、その成果や結果の完成は求められません。(完成物はありません。)
3.報酬
・原則、無報酬ですが、受任者は、特約により報酬を請求することができます。(民法第648条1項)
・委任契約が履行途中で終了しても、特約で報酬の定めがあれば、受任者は、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができます。(民法第648条3項)
4.受任者の義務
・委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務が課されます。(民法644条)
・受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告する義務が課されます。(民法645条)
5.委任者の義務
・委任事務の処理を行うにあたり、費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければなりません。
(民法649条)
・受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができます。(民法650条)
・受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に変わってその弁済をすることを請求することができます。この場合において、その債務が弁済期にないときは、委任者に対し、相応の担保を供させることができます。(民法650条)
・受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができます。(民法650条)
6.解除
・委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができます。(民法651条)
・相手方に不利な時期に委任を解除した場合や、委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く)をも目的とする委任を解除したときには、相手方の損害を賠償しなければなりません。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りではありません。(民法651条)
7.終了
・委任は、次に掲げる事由によって終了します。
①委任者又は受任者の死亡。
②委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。
③受任者が後見開始の審判を受けたこと。
誤り
受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。(民法645条)
したがって、「委任者の請求があっても委任事務の処理の状況を報告する義務はない。」が誤りです。
正しい
受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。(民法648条第1項)
したがって、本選択肢は正しいです。
誤り
委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。(民法651条第1項)
したがって、「委任契約を解除することができない。」が誤りです。
なお、受任者に不利な時期に委任契約を解除した場合は、委任者は受任者の損害を賠償しなければなりません。
(民法651条第2項)
誤り
受任者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
一 委任者の責に帰することができない事由によって委任事務の履行をすることができなくなったとき。
二 委任が履行の中途で終了したとき。 (民法648条第3項)
したがって、「既にした履行の割合に応じた報酬についても請求することはできない。」が誤りです。
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